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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

イタリアの雇用事情

イタリア国立統計研究所(ISTAT)によると、イタリアの3月の失業率は9.8%、月次データの収集を開始した2004年1月以降で最高の水準ということだ。特に深刻なのは、15~24歳の若年層の失業率で、35.9%にもなる。(ロイターより)
イタリアでは、労働法によって正規雇用者が保護されていて、企業が業績不振を理由に従業員を解雇することが認められていない。日本のようなアルバイト雇用もないようだ。これは企業側にとっては、人件費削減による経営改善が図れないので、非常に厳しい措置だ。

確かに、これらを裏付けるかのように、現地のカフェやレストラン、土産物屋などでは、若者より年配の従業員が目についた。
旅行中に聞いた話では、イタリアとスペインは、雇用を守るため、ツアー添乗員が観光ガイドをしてはいけない規則になっているそうだ。旅行会社としてはコスト削減したい部分だろうが、やればすぐに通報されて、営業できなくなってしまうらしい。

では、そのように手厚く保護されているイタリアの労働者の働きぶりはというと、国民性もあってか、日本人とはだいぶ違う。とりわけオーバーワークを嫌う傾向があるようで、私が参加したツアーでも、夕方、観光バスが地元で信号停車している間に、さっさと降りて帰宅してしまった現地ガイドもいた(笑)。夕方、観光バスの運転手が、途中バスごと交代することも珍しくないらしい。

べつに日本人のように働けとは思わないが、そんな働きぶりでも解雇されず、就職できない若者がさらに増えたら、イタリア経済は回復するどころか、ますます悪化してゆくのではないか?と他人事ながら心配してしまう。優秀な若者は海外へ流出し、そうでない普通の若者が、地下経済の仕事や犯罪にはしってしまうこともあるかもしれない。今も良いとはいえない治安がさらに悪化すれば、大切な収入源である観光客が減ってしまうことも考えられる。
街中が美術館・博物館のような、美しく歴史的にも価値ある名所にあふれたイタリアが、経済面・雇用面でも、よい方向へ進んでくれることを願わずにはいられない。

ちなみに、スペインの失業率は23.6%(2月)、ギリシャは21%(昨年12月)。ともに若年層の失業率は50%以上だという。(朝日新聞デジタルより)
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