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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

2012-01-01から1年間の記事一覧

GATTと醜い姉妹

前回書いたように、第二次世界大戦の経済的背景となったブロック化と保護主義への反省から、「自由、無差別、多角主義」を原則とするGATTが発足した、といわれている。「自由」とは自由貿易のことであり、具体的には関税の削減と数量規制の禁止などを意…

2つのベクトル―自由貿易とブロック化

世界経済のブロック化が進んでいる ― 今年は、このような専門家・識者のコメントを何度か見聞きした気がする。「ブロック」という言葉は使わなくても、自由化、グローバル化に対する揺り戻しが確実に訪れると警告する学者もいる。本当だろうか?第二次世界大…

選挙前に少しだけTPPについて

年末の慌ただしさの中、気がつけばもう来週は選挙の投票日だ。 私は都内在住なので、衆院選だけでなく都知事選もある。ポストに投函されていたチラシを見ると、都知事選なのに、なぜかTPP加盟に関する主張を載せている候補者がいた。私は衆院選でさえ、T…

グローバル企業帝国

国家と企業の類似点と相違点に興味を持ったのは、個人的には現在勤めている会社に就職したことも影響している。いわゆる外資系グローバル企業なのだが、なんだか帝国みたいなのだ。近年はいろいろな企業を吸収合併する一方で、儲からない事業はさっさと売却…

『ナウシカ』から国の規模と軍事力について素朴に考える 2

ネットで検索してみたら、ウィキペディアに各国の軍事費のランキングデータがあった。 さすが米国は、翳りが見えてきたとはいえダントツ1位だ。リアル世界のトルメキアよろしく(?)、2位以下をはるかに引き離している。 GDP比とGDPの世界ランキン…

『ナウシカ』から国の規模と軍事力について素朴に考える 1

特に好きという訳ではないが、TVでやっているとつい見てしまうアニメに、『風の谷のナウシカ』がある。 28年前の作品にも関わらず、いまだに地上波でTV放送され人気があるのは、ストーリーの面白さや魅力あるキャラクターもさることながら、物語の背後…

不都合でない真実?

国際関係に影響を与える因子には、地理や資源の有無といった固定的な条件以外にも、人口、経済力、技術革新など可変的な要因もある。中でも、比較的ゆっくりではあるが大きな影響を与えるものが、気候変動だろう。近年では言わずと知れた地球温暖化がある。…

地政学アゲイン?

地政学という学問がある。 詳しくは知らないが、政治現象と地理的条件との関係を研究するものらしい。その中でも有名な「ハートランド理論」によると、外交・防衛政策はイデオロギーなどではなく、その国の地理的条件に制約、決定されるという。地政学では、…

ブルーゴールド

前回の記事で穀物メジャーについて少し触れたが、当然のことながら水ビジネスも活発になっている。水不足や水質汚染が新たなビジネスチャンスとなっているのである。石油ビジネスの「ブラックゴールド」に対して、水ビジネスは「ブルーゴールド」と呼ばれて…

バーチャルウォーターと食糧危機

「バーチャルウォーター」という言葉をご存知だろうか? 日本は山や森林が多く、気候も梅雨、台風など雨が多い。日本は他国と比べて水資源が豊富で、量的な問題はほとんどない。私たちの多くはそう考えているのではないだろうか?だが、日本は食糧の多くを輸…

再び水の話

水の話に戻る。 地球上にある水の97.5%は海水で、2.5%が淡水だそうだ。さらに、その淡水のうち、69.5%が永久凍土や氷河なので、人間が利用できる水は残りの30.5%、つまり地球上の水のたった0.8%しかないということになる。これは20…

「推奨」が「命令」に変わってからでは遅い

私の勤務先(欧州系企業)が、「当面中国への渡航(香港を除く)は推奨しない」という方針を固めた。 香港を対象外とした理由は、アジア・パシフィック地域のヘッドクォーターがあるため、マネージャー以上の人間は、ことあるごとに香港オフィスに出向かない…

今も昔も水は命

雨不足で首都圏の水甕であるダムの貯水量が減っている。 折しも『環境の文明史』(洋泉社新書)を読み返し、人類にとっていかに水資源が重要か再認識した。水をめぐるトラブルは、紀元前、おそらく人類が農耕を始めた頃にはすでにあり、今日までずっと続いて…

のび太国の経済政策

結局、国家と経済の関係はどうあればよいのか?という問題は、以前記事で引用したジョン・マクミラン氏の言葉にある通り、誠実に答えようとするほどシンプルには答えられなくなる。氏が言うように、国家は国民の命と安全を守るため、利潤では支出を賄えない…

シマと国家とマフィア、そして企業

ニュースを見ながら、シマをめぐって争うところも国家とマフィアは似ているなぁなどと思う。 両者とも地所・縄張りが資本なのだ。企業も土地を使うが、(生産などの手段として以外は)特定の土地を占有し続けることに関心はない。商人は本質的に遊牧民で、そ…

最近は領土問題の陰に隠れているけれど

私は普段、政治・経済関連のサイトはあまり見ない。それでもネットで増税や経済対策についての書き込みをよく見かけるので、それだけ国民の関心が高いのだなと思う。あまり真剣に読んではいないが、議論のポイントは大まかに、経済活性化に公共投資は必要&…

いじめと脳と寺子屋

前回、ジョセフ博士の「普遍的倫理モジュール」について少し触れた。他の本で引用されていたのを読んだだけなので詳しい内容は分からないのだが、おそらくこのモジュールは、人類の長い歴史の中で培われてきたものではないだろうか。その一万年以上にわたっ…

いじめは人間社会のバグか?

いじめ行為が継続的に行われている場合、少なくとも率先していじめている子供には、その行為に何かしらの快感・快楽が伴っていると考えてよいだろう。いじめ行為によって得られる快感は、ゲームをしている時に感じるようなものかもしれないし、優越感、いじ…

いじめる側から考えてみる

最近、いじめによる自殺事件が大きな話題になったが、報道されるされないに関わらず、日本ではかなり以前からいじめが問題になっている。 個人的には自分に子供がいないこともあり、正直今まであまり大きな関心を払ってこなかった。いじめについては、もうす…

オフィスグリコが成り立つ ワケ

いつからだったろう?職場にオフィスグリコが入るようになったのは。100円玉を集金箱に入れて好きな商品を一つ買うセルフ販売システムだ。写真のお菓子ボックスには、チョコ、クッキー、おせんべいの類いはもちろん、マグカップでつくれるインスタント麺…

ピダハンについて 8

これまでピダハンの言語と文化の特徴をいくつかピックアップしてきたが、それらの多くがエヴェレットのいう「直接体験の法則」に由来しているようである。彼らは「今」に生き、過去や未来に心を煩わせない。ピダハン語には「心配する」に相当する語彙がない…

ピダハンについて 7

ピダハンの文化と言語にはユニークな特徴がいくつもあるが、中でも興味深かったのは、彼らの社会に神話というものが一切存在しないことだった。 人類学では、どの文化にも自分たちのルーツや世界がどのように出来たかを説明する物語、いわゆる「創世神話」が…

ピダハンについて 6

ピダハンは、私たちが普段何気なく使っている方向や方角を示す表現も、けして普遍的なものではないことを教えてくれる。 私は、人間は(他の多くの動物も)眼と他の五感を使って自分の棲む世界を見たり感じたりしているのだから、まず自分中心に外の世界を捉…

ピダハンについて 5

交感的言語が無い以外にも、彼らの言葉にはユニークな特徴がある。 まず、ピダハン語には比較級―「これは大きい、あれはもっと大きい」のような表現がない。また、完了した過去を語る叙述も見当たらなかったそうだ。 それだけではない。赤、青といった色彩を…

ピダハンについて 4

言語学には「交感的言語」という用語がある。「こんにちは」「さようなら」「ありがとう」「ごめんなさい」のような、何か新しい情報を提供するものではないが、単に相手を認めたり、善意や敬意を表したりして、社会や人間関係を維持する働きをする言葉であ…

ピダハンについて 3

前回の記事で書いたように、ピダハン社会には権力や個人に対する集団からの強制というものがほとんどない。それだけでなく、プライベートな人間関係においても、他者に指図するようなことは基本的によしとされない。そして、これは子供のピダハンに対しても…

ピダハンについて 2

人間は、なかなか自分がどんな偏見や先入観を持っているか気がつかないものだ。私も例外に漏れず、エヴェレットの本を読むまでは、いわゆる先住民と呼ばれる人々の社会に対して間違った思い込みを抱いていた。 その一つが、どのような人間社会にも(そしてお…

ピダハンについて 1

本当に読む価値のある本というのは、自分の先入観や固定観念を壊して、価値観や認識の見直し・変更を迫るような内容のものだと思う。以前『凡才の読書術 2』でも書いたが、私たちはともすると自分が何となく感じていることを支持してくれるような情報ばかり…

フリマ女子と代替通貨

このところ風邪をひいたり、仕事もプライベートも忙しかったりで、なかなか記事が書けなかった。書きたいことは色々あるのだけれど、しばらくは忙しい日々が続くので、文章の書き方を工夫しないとアップが難しいかもしれない…。それはともかく、TVで見たと…

『※写真はイメージです』

先日、買ってきたお菓子のパッケージを見て、あらためて気がついた。印刷されているのは、高級そうなトリュフチョコと生クリームを使ったデコレーションの写真。そして、その下に小さく、『※写真はイメージです』という一文が添えられている。「写真はイメー…