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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

今も昔も水は命

雨不足で首都圏の水甕であるダムの貯水量が減っている。
折しも『環境の文明史』(洋泉社新書)を読み返し、人類にとっていかに水資源が重要か再認識した。水をめぐるトラブルは、紀元前、おそらく人類が農耕を始めた頃にはすでにあり、今日までずっと続いている。
紀元前2000年頃、地球環境が大きく変化し、気候が非常に寒冷化・乾燥化したそうである。この時期は、古代長江文明やインダス文明を消滅させた人びとが拡大した時代でもあり、民族の移動期が気候変動期であることは間違いないそうだ。また気候変動だけでなく、開墾・乱伐による森林破壊や地下水による灌漑は、水源の枯渇、土地の砂漠化や塩害を引き起こしてきた。

実はこうした問題は、現代ではなおさら深刻になりつつあるようだ。地球温暖化による環境変化はもちろん、世界人口の増加と途上国の発展に伴う生活レベルの向上により、飲料水や生活用水だけでなく、農業用水、工業用水の需要も伸びている。途上国では、農業製品より工業製品の方がはるかに大きな経済価値を生み出すため、水利用が農業生産より工業生産の方に優先されるという問題もある。
現代的なライフスタイルは水をたくさん使う。途上国や新興国の人びと全てが、そのようなライフスタイルを享受することは不可能なのである。
数年前わが国でも、隣国が水資源を求めて日本の水源地を購入しているという話がネットやマスコミで話題になった。オーストラリアでは、もう5年以上前から水不足や農地の塩害が深刻な問題となっている。日本で暮らしているとピンと来ないが、自体はかなり深刻なのだ。

ほとんどの生き物は水と空気がなければ死ぬ。もちろん生存には空気が一番必要だが、人類は今のところ、まだ空気をめぐって争うところまではいっていない。
そういえば、映画『トータルリコール』(1990年の方)ではたしか、空気が人びとを支配する重要なインフラかつストーリーの鍵となっていた。もし人類が遠い将来、他の惑星や宇宙ステーションで暮らすようになれば、本当にそうなるかもしれない。いや、もしかしたら近い将来、この地球上で安全な空気を吸うために、私たちは空気代や空気税を支払っているかも…?