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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

2012-01-01から1年間の記事一覧

人と社会の分裂状態は正常か?

以前、心理療法やカウンセリングを少しかじった時に聞いた、あるユニークな先生の言葉を今も憶えている。 それは、精神分裂病(当時は統合失調症をそう呼んでいた)のことを、『あれは、精神‘分裂’病じゃなくて、精神‘統一’病だ。』という、冗談のような発言…

電力卵と小売自由化への一歩

『全ての卵を一つのバスケットに入れてはならない。(Don't put all your eggs in one basket.)』という言葉は、投資関係で頻繁に出てくる格言だが、私は電力ほど、この格言が当てはまるものはないのではないかと思っている。福島第1原発事故が起きるまで、…

イタリアの雇用事情

イタリア国立統計研究所(ISTAT)によると、イタリアの3月の失業率は9.8%、月次データの収集を開始した2004年1月以降で最高の水準ということだ。特に深刻なのは、15~24歳の若年層の失業率で、35.9%にもなる。(ロイターより) イタ…

今も続くパンとサーカス

TVは朝の情報番組くらいしか見ないのだが、その芸能ニュース・コーナーで、よくアイドルのコンサートの様子が映し出される。派手なステージ演出と、LEDライトを手に総立ちで興奮する観客の姿。その異様な盛り上がりを見せる情景にふと、「ローマのコロ…

世界のスーパーアイドルがおわす場所

ナポリの港に、巨大マンションのようなフェリーが停泊していた。このような豪華客船の乗客がイタリアの港に着いたとき、必ず訪れるであろう場所が、ヴァチカンだ。観光客で賑わうサン・ピエトロ広場には、まるで屋外コンサート会場のように、大スクリーンが…

家紋は正露丸?(勝手に商標使ってスミマセン)

素朴な疑問だが、貴族や王族とよばれる人たちは、一体いつ、どのようにして、その身分になったのだろうか? 超古代、まだ親族を中心とする小グループしか存在していなかった頃から、グループ同士の戦いと略奪により、少しずつ領土や財を増やしていったファミ…

海辺で生きるということ

この前、海に行ったのはいつだったろう?思い出せないくらい海に興味がないのだが、数年ぶりに海で船に乗った。 海辺で暮らす、海と共に生きるとは、どういうことなのだろう?船上で波に揺られながら、そんなことを考えた。海の波をコントロールすることはで…

数字と計測は人間の意識を変えたか?(数感覚、数字、数えること 2)

サルの計算能力実験の記事で、「数感覚」という言葉をはじめて知ったけれど、その前から、数を把握するのに「数字」や「数える」という行為は必ずしも必要でないことは認識していた。 ただ素朴な疑問として、数感覚という直感的な数の把握の仕方で、一体どの…

数を把握する動物たち(数感覚、数字、数えること 1)

2012-04-04の記事で、インカ人の数の把握の仕方は、私たちとは違って、もっと右脳的・直感的だったのではないかと書いた。それが本当かは分からないが、そのとき私の頭の片隅には、以前ナショナルジオグラフィックのウェブサイトで読んだ、魚をつかった実験…

パシリは奴隷の始まりか

文明の興隆には財の蓄積と労働力の集中投下が必要だというようなことを書いたが、人類が最初に他の人間を奴隷にし始めたのは、土木建築作業や農作業などの強制労働をさせるためだったのだろうか? 奴隷の起源は古すぎてわからないが、「奴隷的な立場」がうま…

所有、売買、使役できるものはみな奴隷?

古代ギリシャもローマも、生活や経済の基盤を奴隷労働に負っていた。時代が下るにしたがい、「身分としての奴隷」は減っていったかもしれない。現代では、奴隷制は国際法で禁止され、表向きは存在しない、してはいけないことになっている。しかし、今でも奴…

武力で征服は同じなんだけどね

「インカ展」がそれほど面白かったわけでもないのに、思いのほかインカネタを引っぱってしまった。 過去にペルー、ボリビアを訪れた経験もあるが、以前読んだ『環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ』の次の内容が頭に残っていたからだ。 …

貨幣を生む発想、生まない発想

難民キャンプや捕虜収容所のようなところでも、市場が自然発生する。第2次世界大戦中の捕虜収容所では、タバコが通貨の役割をしていた。そのような交換媒体がすぐにできたのは、そこにいた人々が、もともと貨幣経済の中で生活していたからだろう。しかし、…

「ハガレン」じゃないけど

インカ絡みの記事を書いていて、ふと「等価交換」という言葉が浮かんだ。 人間が神に生贄を捧げるのは、豊穣や天災の終息など、自分たちの願いを叶えてもらうためや、すでに受けている恩恵への返礼なわけだが、かれらは捧げ物や儀式と、願い事や恩恵が釣り合…

互恵社会と生贄文化

インカ社会は互恵制度に基づいていた。それは、インカ帝国の征服・支配方法にもあらわれている。 王は、征服した集団の指導者に、ふんだんに贈り物を与える。征服された側は、それに対して拒否も出来なければ、等価の返礼をすることも許されず、服従すること…

インカ帝国の統治システム

時代的にはかなり新しいにもかかわらず、インカ文明の資料は豊富とはいえない。 その理由の一つは、もちろんスペイン人による征服、虐殺、略奪による。かれらは、王を人質に帝国中から黄金の品を集めさせ、それらを全て溶かして金塊にしてしまった。彼らの太…

文明とは衰えるもの

上野の国立科学博物館で開催されている「インカ帝国展」を観に行ってきた。 インカ文明はスペイン人によって破壊と略奪の限りを尽くされたせいか、きらびやかな装飾品などの大きな目玉となる展示物はなかった(ミイラくらい)。でも個人的には、知りたかった…

被災地から聞こえる胎動

「税をめぐる妄想」シリーズを書き上げるあいだに、3月11日の毎日新聞に掲載された社説を見つけた。 『社説:震災1年/7 未来のために 「NPO革命」を進めよう』政府の復興政策がなかなか進まないなか、全国からの寄付、ボランティア、地元のNPO活…

サービス納税 (税をめぐる妄想 4)

景気後退で経済の縮小傾向が続けば、資格や技能を持っていても仕事がない、就職できない人が増える。あらたに資格を取ったり、技能を身につけるインセンティブもなくなるので、労働力の質と経済的競争力のさらなる低下を引き起こす。 そのような負のスパイラ…

安否確認システム

今日で、東日本大震災から1年になります。 あらためて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災されたみなさまと、そのご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。2011年3月11日に発生した東日本大震災による死者行方不明者は、1…

ボランティア納税 (税をめぐる妄想 3)

まぁ、呼び方は「労働納税」でも「サービス納税」でも、何でもいいんだけど、、、 私が、先に書いた物品納税より、さらに納税者と国・自治体双方にメリットがあると考えているのが、この奉仕活動による納税だ。工夫次第で、国や自治体が行っているさまざまな…

税をめぐる妄想 2

現代人にとって、税をお金で納めるのは当たり前だが、歴史的に見ればけしてそうではない。 近代になるまで、農村部の庶民の生活は自給自足に近く、日常的にお金を使うことはほとんどなかったのではなかろうか。税も、国や領主によって、取れるかたちで徴収さ…

そりゃいつかは噴火する

1月下旬頃から、富士山噴火の前兆現象がマスコミやネットで話題になっており、いろいろな憶測が飛び交っている。 それに反応してか、気象庁が問題となった現象の一つについて、噴火との関連性を否定する説明をわざわざ発表したようだ。 「富士山で湯気、噴…

税をめぐる妄想 1

日本ではこのところ、現政権による消費税率引き上げが問題になっている。 租税の起源はよくわからないが、古代文明の時代から、穀物、労働、兵役など、何らかのかたちで租税は徴収されていた。記録に残っていない、いちばん古い税の起源はどんなものだろう?…

バージョンアップはしたけれど

人は自分の行動の本当の動機を知らない。 少しでも心理学や心理療法をかじったことのある人にとっては常識だが、多くの人にとっては、そうではない。「私は○○だから××した」と、自分ではちゃんと理由がわかっているつもりだし、そう思いたい。思っているのと…

メルモな脳

子供の頃、TVで『ふしぎなメルモ』というアニメが放映されていた。メルモちゃんという主人公の女の子が、赤と青のミラクルキャンディーを食べると、キャンディー1つにつき、10歳若返ったり年老いたりする。ところが、若返るキャンディーを1つと、成長…

猿知恵のエコノミック・アニマル

朝三暮四(ちょうさんぼし) 春秋時代、宋の国に狙公という猿好きの老人がいた。猿が増えて家計が苦しくなったため、飼っている猿に与える餌を減らそうと考え、狙公は「これからはトチの実(どんぐり)を朝に三つ、暮れに四つやる」と言ったが、猿が「少ない…

おサルな私たち

よりよい社会や経済システムを考えようとすれば、人間の行動や価値観の基礎となっている(支配/制限しているともいえる)ものが何か?について知らなければならないと思う。それは、「人間とはなにか?」という問いでもあり、人類は長年この問題に取り組ん…

こんなにあるヒューリスティクス

情報分析の落とし穴、無意識のうちに人の判断・認識を誤らせるヒューリスティクスには、いろいろなものがあるようだ。 典型のヒューリスティクス(リプリゼンタティブネス・ヒューリスティクス)一方が他方の典型であったり似ていたりすると、両者を無意識の…

便利で不都合なバイアス

情報分析の世界には、「ヒューリスティクスの問題」「マインドセットの問題」というものがあり、インテリジェンス研究や心理学において研究されているそうだ。判断や評価をするさい、私たちは下記のように、一つ一つ、コツコツと思考を積み重ねて結論を導き…