今も続くパンとサーカス
TVは朝の情報番組くらいしか見ないのだが、その芸能ニュース・コーナーで、よくアイドルのコンサートの様子が映し出される。派手なステージ演出と、LEDライトを手に総立ちで興奮する観客の姿。その異様な盛り上がりを見せる情景にふと、「ローマのコロッセオも、こんな風に盛り上がっていたのかな?」などと思ってしまう。
もちろん、今はローマ時代とは違い、コンサートやスポーツの試合が、「統治者の施し」として開催されているわけではない。しかし、基本的な生活の必要(パン)が満たされ、強い規制が無ければ(あるいは緩和されれば)、放っておいても民間が自ら娯楽をつくりだし、自分たちにサーカスを提供するようになる。そして、古代ローマや18世紀のヴェネチアに限らず、狡猾な統治者たちは、娯楽や祝祭が政治的抑圧や体制への不満を代償することを熟知している。いわゆる「ガス抜き」ってヤツだ。
アイドル歌手やロックスター、スポーツ選手は、現代のグラディエーター(剣闘士)なのだろうか?かれらがショーの最後に、皇帝や観衆の親指の向きによって生死を決められることはないが、かれらのスター生命を握っているのは、他でもない、「ファン」という現代のローマ市民なのかも。。。