こんなにあるヒューリスティクス
情報分析の落とし穴、無意識のうちに人の判断・認識を誤らせるヒューリスティクスには、いろいろなものがあるようだ。
- 典型のヒューリスティクス(リプリゼンタティブネス・ヒューリスティクス)
一方が他方の典型であったり似ていたりすると、両者を無意識のうちに短絡的に結びつけてしまう。これは分析時に、「ベースレートの誤信」と「ギャンブラーの誤信」という二種類の過ちを犯すもとになる。 - ベースレートの誤信(base-rate fallacy)
典型のヒューリスティクスが無意識に発動されると、本来、判断の基礎とするべきベースレート(事前確率)を無視したり、軽視したりしてしまう。 - ギャンブラーの誤信(gambler’s fallacy)
ある事象が「起こる/起こらない」という2つの可能性がある場合、一方が何回も実現すると、「そろそろ、もう一方の可能性が実現しないとおかしい」と考えてしまう。 - 利用可能性のヒューリスティクス(アベイラビリティ・ヒューリスティクス)
無意識のうちに思い出しやすいもの=利用しやすいものを重視してしまう。 - こういう人がいる症候群(man-who syndrome)
パーソナルなかたちで入手したインフォメーションは、鮮明に記憶されるので、そのぶん思い出しやすく、無意識のうちに過大評価してしまう。 - 因果関係のヒューリスティクス
ものごとには必ず因果関係があると思い込んでしまう。 - 修正のヒューリスティクス
無意識のうちに、取りあえずの結論を出してしまい、その後にそれを徐々に修正する。 - アンカリングのヒューリスティクス
取りあえずの結論がアンカー(錨)のようになり、後でいろいろなインフォメーションを与えられても、十分に修正できなくなってしまう。 - 後知恵のヒューリスティクス
過去の出来事をふり返るとき、あれは自分がきちんと予測していたと、無意識のうちに思い込んでしまう。
これらのヒューリスティクスの多くは、その存在を意識していても回避・軽減するのが難しいことが、実験により証明されているそうだ。
わが身を振り返ってみれば、どれもこれも身に覚えのあるものばかり…。私たち一般人は、これらの落とし穴を“渡り落ち”ながら生きているんじゃないかと思ってしまふ。。。(笑)
参考文献: 『仕事に役立つインテリジェンス 問題解決のための情報分析入門』 北岡 元・著