... listening to 4'33" 

調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

数を把握する動物たち(数感覚、数字、数えること 1)

2012-04-04の記事で、インカ人の数の把握の仕方は、私たちとは違って、もっと右脳的・直感的だったのではないかと書いた。それが本当かは分からないが、そのとき私の頭の片隅には、以前ナショナルジオグラフィックのウェブサイトで読んだ、魚をつかった実験の記事があった。

それは、カダヤシというメダカに似た体長3~5cmほどの小さな魚が、実験で幾何学図形の個数を数えていたと確認されたという内容だった。
まず、10匹のカダヤシを訓練し、大きな群れに合流できる出入り口と特定数の図形の関連付けをする。その上で、別の水槽に入れられても、覚えさせた数の図形でマーキングされた出入り口を選ぶかテストするという実験内容だ。カダヤシが図形の面積などで判断している可能性を消すため、サイズや明度、間隔の異なる複数の図形を組み合わせたセットが用意されたが、魚たちは偶然とはいえないレベルで正しい出入り口を選んでいたというのである。

研究者のクリスティアン・アグリロ氏は、魚のこの能力が、進化の過程で獲得された“最終手段”的な生き残り戦略である可能性が高いと説明している。氏曰く、「数を数えるよりも、単純に見た目の大きさから数の大小を判断した方がおそらく簡単だろう。しかし捕食動物から身を守るため、多数で群れを作って安全を確保する場合は、数を数えなければならない場合もあるかもしれない」。

生き物にとって、数量の認識はサバイバルに直接関わるだろう。敵や獲物の大きさ・数は、個体と群れの行動を決定する上で極めて重要な情報だ。そして、確かにアグリロ氏の言うように、面積やボリュームを直感的に把握する方法が、一番手っ取り早く簡単そうではあるが…。

さらに調べてみると、宇都宮大、杉田照栄教授のグループによる研究の新聞記事が見つかった。ハシブトガラスをつかった実験で、カラスが数の大小を認識できることが分かったそうだ。これまでにも、カラスには人間の男女の顔を見分ける能力や、図形の認識力など、分類思考能力があることが分かっており、カラスの脳の一部をみると、人間の5、6歳に当たる能力があるという。
どうりで、ゴミの日の朝、いつも私のことを馬鹿にしたように見ているわけだ、、、

また、サルにいたっては、簡単な足し算・引き算もできるらしい。アメリカ、デューク大学の研究では、アカゲザルがタッチスクリーンに表示された丸印の引き算に成功した。その結果は、比較のために試験を受けた大学生の正解率と同等だったという。
試験方法には、“数感覚”と呼ばれる瞬間的な認識能力が使われた。サルと学生、いずれのグループも、わずか1秒ほどで正しい答えを選択した。
研究者の一人、心理学者のジェシカ・カントロン氏は、このような共通点があることについて、「こうした能力は、数字について判断する原始的なシステムの一部であり、数百万年以上にわたる進化の過程で受け継がれてきた可能性がある」と言っている。

参考サイト: 
ナショナルジオグラフィック 日本語サイト
「魚も数を数えることができる」
「サルも引き算ができる」
下野新聞動画ニュース
「カラス、数の大小を認識 宇大・杉田教授らが解明」