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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

メルモな脳

子供の頃、TVで『ふしぎなメルモ』というアニメが放映されていた。メルモちゃんという主人公の女の子が、赤と青のミラクルキャンディーを食べると、キャンディー1つにつき、10歳若返ったり年老いたりする。ところが、若返るキャンディーを1つと、成長する方を1かけら、いっしょに食べると、さらに不思議なことがおきる。一度、受精卵まで逆戻りしてから、今度は成長して犬やネズミなどの動物に変身するのだ。

ヒトの脳にも、メルモちゃんさながら、生物の進化のプロセスが見られる。
脳の形成は、長さ2mm、直径0.2mmほどの「神経管」から始まる。この神経管は、どの脊椎動物にも共通で、その起源は約5億年前に出現した原索動物、ホヤの幼生に行き着くそうだ。その後進化した脊椎動物の脳は、みな基本構造がよく似ており、違いは脳幹・小脳・大脳といったパーツの大きさと追加機能である。
鳥類や哺乳類になると、小脳と大脳が大きくなり、特に大脳の「新皮質」が発達して、「感覚野」「運動野」といった新機能を持つようになる。霊長類は新皮質がさらに発達し、「連合野」が出現する。ヒトともなると、新皮質が大脳皮質の90%以上を占めるそうだ。

脳は基本構造が変化するのではなく、新たな機能を付け加えるようなかたちで進化してきた。つまり裏を返せば、古い機能もすべて(そのままではないにせよ)残っていることを意味している。これは、人間の認知行動を理解するうえでも、制度や社会システムといったものについて考えるうえでも、非常に重要なことだと思う。

参考文献: 理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI)
     『ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる』 ダイアン・コイル・著