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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

選挙前に少しだけTPPについて

年末の慌ただしさの中、気がつけばもう来週は選挙の投票日だ。
私は都内在住なので、衆院選だけでなく都知事選もある。ポストに投函されていたチラシを見ると、都知事選なのに、なぜかTPP加盟に関する主張を載せている候補者がいた。

私は衆院選でさえ、TPPが争点の一つになっていることに少し疑問を感じている。もちろん、国民一人ひとりがそういったことに関心を持つこと自体は非常に大切だと思う。しかし、国防・安全保障に関わる、一般の人々(私もそうだけど)には判断するのが非常に難しい問題を、政治家があたかも国内経済の問題であるかのように取り上げ、選挙で公約にするのは、有権者をミスリードしているか、候補者の政治家先生自身がよく分かっていないからではないだろうか?とつい思ってしまう。そんな政治家はどっちも嫌だー!(鉄拳風)

まず一番肝心なことは、経済と軍事・国防は表裏一体ということだ。コインの裏と表をペリペリと剥がして別々に出来ないように、この2つを分けて考えることは出来ない。
この冷厳な現実を、ほとんどの平和ボケで脳内お花畑の日本人は理解出来ない。かくいう私だって、5~6年前はそんなこと考えたこともなかった。だから、そういう人たちを私も責めることはできないが、いい加減そろそろ気がつかないと本当にヤバイのかもしれない。
TPPを単なる経済の問題として捉えること自体が、すでに判断を誤っていると思う。

それに、もしTPPを経済や貿易の面からだけ捉えるにしても、国際貿易と金融についての知識と理解、GATT(関税貿易一般協定)・WTO(世界貿易機関)の活動内容とその推移、その上で現在、他の国々がどのようなFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)を結んでいるか、あるいは交渉に入っているのかが分かっていないと、わが国のTPP加盟に対するスタンスも決められない。
私は仕事上、多少貿易に慣れ親しんでいるが、そうでない一般の人びとにとっては、これらのごく触りの部分だけでも理解するのはけっこう難しいかもしれない。

もちろん、私なんかより真面目で優秀で勉強熱心な有権者はたくさんいるはずだ。しかし、みな仕事や家庭で多忙な生活の中、理解を深めるのに必要な情報を取り入れる時間も限られている。私は、このような真面目な人たちが、書店の目立つ平台や、ネット検索の上位にヒットする、(加盟に賛成であれ反対であれ)始めに結論ありきで書かれたような情報のみによって判断をしてしまうことを危惧している。
私自身も通勤電車の中ぐらいしか読書の時間がなく、国際貿易協定について書かれた本をやっと最近一冊読み終えただけだ。それでも、そこから生き馬の目を抜く国際政治の様相が透けて見えてくる。
国あっての国内経済なのに…ね。