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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

グローバル企業帝国

国家と企業の類似点と相違点に興味を持ったのは、個人的には現在勤めている会社に就職したことも影響している。いわゆる外資系グローバル企業なのだが、なんだか帝国みたいなのだ。

近年はいろいろな企業を吸収合併する一方で、儲からない事業はさっさと売却して業績を伸ばしている。実は、私自身も元々は吸収された企業の一派遣社員だった。今の会社は、全世界で従業員が10万人以上と、とにかくハンパじゃなくデカい。
そして、(いろんな意味で)感心したのは、従業員を啓蒙(!)するためのイベント、キャンペーンが実に多いことだ。年に数回、グローバルやアジア・パシフィック区域のお偉いさんが来日し、全社員ミーティングがおこなわれる。そこで長期戦略や組織変更などについて説明がなされ、自分が巨大なピラミッド構造の底辺にいることを自覚するのである。
それだけではない。キャンペーンのキャッチフレーズ(?)やら会社のロゴが入ったボールペン、ノートパッド、ステッカーなどなどの啓蒙グッズも年に数回、全員に配られる。どこの企業でも多少はおこなわれていることだが、これが事業所のある全ての国々でおこなわれるのだから規模が違う。安月給の私は思わず、「そんな金があるなら給料上げてくれ!」と言いたくなってしまう。
思わずグチってしまったが(苦笑)、とにかく国も文化も違う小国並みの数いる従業員と事業所をまとめ、優秀な人材を自社に引き留めておく(外資系は転職多いからねー)のは、なかなか大変なのだろう。簡単に辞めたり、辞めさせたりできるのは、国家と大きく違うところだ。

多少スタイルに差はあっても、企業はピラミッド型の強烈な中央集権組織だと思う。今の会社に入って、つくづくそう感じる。そして世間を見渡すと、巷の民主国家より、うちのような企業の方がはるかに国家的、いや、帝国的に見える。さらに言えば、はるかに効率的で元気に見える。民主主義はきわめて非効率で、先進各国は経済的に多くの問題を抱えて苦しい状況に立たされている。

もちろん、ビジネスの世界の戦いは熾烈で、国家よりも簡単に倒産、買収といった滅亡劇が日常的に起きている。けしてお気楽な世界ではないのだが、企業はグローバル化することで、領土に縛られた国家には得られない自由と柔軟性を手に入れたように見える。企業が国家を上手く利用し、税金を吸い上げられてはいても(あるいは、それゆえに)、実は国家より上位に立っているような気さえしてくるのだ。

まだまだ勉強不足なので、もっと企業というものについて理解したいと思う。たとえ万年アシスタントでも、今の会社にいるだけで色々と勉強になるので、ひじょうに有難いことである。