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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

『ナウシカ』から国の規模と軍事力について素朴に考える 2

ネットで検索してみたら、ウィキペディアに各国の軍事費のランキングデータがあった。


さすが米国は、翳りが見えてきたとはいえダントツ1位だ。リアル世界のトルメキアよろしく(?)、2位以下をはるかに引き離している。
GDP比とGDPの世界ランキング も併せて見比べると、基本的には経済力のある国々が軍事費も多く費やしてはいるが、けしてそれだけではないことも分かる。
2種類のランキングを比較すると、上位国で軍事費ランキングの順位がGDPランキングより3位以上上回っている国はロシア、サウジ、韓国、イスラエル、下回っている国は日本、ドイツ、ブラジル、イタリア、カナダなどがある。やはり近隣国との紛争や緊張関係、あるいは内乱を抱えた国の方がより多くの予算を軍事費に当てる傾向が見て取れる。(ただ日本の場合は、米軍の駐屯に関わる様々な経費が含まれていないのかもしれない。)
これらのデータだけを見ると、国の規模とくに経済力と軍事力はおおまかには比例関係にあり、その国の事情により多少増減すると言えるようだ。

今の国際社会では、国際法上、他国への侵略行為は一応、否定されている。しかし、人類の過去の歴史においてはさんざんされてきたことだし、今後も起きないとは限らない。少なくとも現時点では、国家が武力を持つことが他国への脅威となるだけでなく、安易な戦争や他国の侵攻に対する抑止力にもなっているというのが皮肉な現実だろう。そのような状況の中で、平和維持のための適正武力、適正軍備と言えるようなものをもし設定するとしたら、それは結局、仮想敵国や国内外を含め脅威となる勢力に対抗しうるが、それらを大幅には上回らない程度…といったものになってしまうだろう。そして当然、その脅威が増せば、軍事力を増強しなければならないことになる…。

いずれにせよ、軍や兵力は維持するだけでお金がかかる。自国の経済というおサイフと相談しながら何とかやりくりできているうちはよいが、それが上手く回らなくなってきたときが問題となるのだろう。
『ナウシカ』の世界では、ペジテは廃墟となった都市の様子から、都市国家としてかなり繁栄していたことが伺えるが、トルメキアは皇女クシャナが率いる軍隊のみが登場するだけで、帝国そのものの様子は描かれていない。強大な軍事力を維持するには当然、経済力がなければならないはずだが、腐海の侵蝕が進む世界でどうしていたのだろう?
人類の歴史を紐解けば、経済も軍隊も、必ずしも自国の生産力や人材だけで賄われてきたのではないことがすぐわかる。他国から略奪・搾取すればよいのだ。ローマがエジプトを自国のパン籠にしたように、トルメキアも他国を攻め、領土を拡大し、支配国から物資や兵力を調達したのかもしれない。

現実の国際社会では、2つの世界大戦の反省から、軍事だけでなく貿易、国際金融なども含めてルールをつくり、お互いをウォッチして均衡を保っている状態だ。だが、どこの国もサイフの中身がさらに厳しくなったり、資源が枯渇したりすれば、ちょっとしたきっかけで、あっという間に世界の均衡が崩れ、事態が急変するのではないかと危惧している。

それにしてもウィキで日本語に翻訳したら、”military spenders” を「軍事浪費家」って…苦笑