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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

ルフィが目指すのは女王陛下

このまえTVを見ていて、『パイレーツ・オブ・カリビアン』がディズニー映画だと改めて認識した。そういえば、漫画の『ワンピース』も海賊の話だし、なんで海賊なんだろう?山賊がヒーローの物語って聞いたことがない気がする。私が知らないだけ?と、急に疑問に思った。

どう考えても、山賊より海賊の方がカッコイイし、やってることは同じ略奪なのに、なぜかイメージははるかに良い。キャプテン・ハーロックも宇宙という海原をフィールドに活躍する海賊だ。海の方がロマンがあるから?
そうかもしれない。しかし、それだけでもなさそうだ。まず、海賊と山賊では略奪する対象が違う。山賊が襲うのは、その国の商人や村や旅人といった一般庶民だ。だが海賊が狙うのは、おもに他国の商船などなのだろう。そう、海賊は自国に利益をもたらす存在だからヒーローたりうるのだ。ドロボーなのに権力者側に利益をもたらす存在、そこが鍵のようだ。

そこまで考えて、ちょっとネットや本で調べてみたら、イギリスの海洋支配確立~大英帝国となる歴史が、あまりにまんまなので、開いた口がふさがらなくなってしまった。
竹田いさみ氏によると、ヨーロッパ諸国が貿易に主眼をおいていたのに対し、エリザベス1世時代のイギリスは、海賊行為に主眼をおいた国家戦略をとり、海賊を犯罪者ではなく英雄として扱い、海賊行為を合法化・正当化してきたというのである。
たとえば、16世紀にイギリス人初の世界一週航海に成功した海洋冒険家、フランシス・ドレークも、世界中から略奪の限りを尽くした海賊に他ならず、ドレークが略奪した金銀財宝は、世界の金融の中心地である「ザ・シティ」で換金されていたそうな。
そのザ・シティも、海賊一味の貿易商達の巣窟であり、貿易船(≒海賊船)の保険会社、「ロイズ」を設立したのも海賊、はては東インド会社さえも、地中海レヴァント地域で冒険商人と呼ばれた海賊達で運営されていたとは!

萱野稔人氏によれば、陸の法が通用しない海という空間において、軍事力による自由な略奪戦がおこなわれ、最終的にそれを制したイギリスが世界資本主義のヘゲモニーを獲得したのだという。
…てことは、海賊は資本主義社会のヒーローでもあるわけだ。ディズニー映画になっても当然、、、かぁ~。。。

参考文献: 『超マクロ展望―世界経済の真実』 水野 和夫・萱野 稔人・著
      『世界史をつくった海賊』 竹田 いさみ・著