... listening to 4'33" 

調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

世界はフラット化しているか?

ここ十年くらいのあいだだろうか?パソコンとインターネットの普及から、瞬く間にバーチャルな世界が一般の人々にとって当たり前になった。ソーシャル・ネットワーキングは、世界をよりボーダーレスでフラットにしているように見える。
だが、たとえ電脳空間で有名人とフランクに会話できたからといって、その関係がリアル世界に反映されるようなことは、ほとんどの場合起こらないのも現実だ。
情報も、今まではごく一部のグループしか知りえなかった情報や政府が公表を控えていたような情報が、あっという間に世界を駆けめぐるようになったと見える一方で、さらに多くの貴重な情報が、一部の人たちのところだけに集まりシェアされているような気もする…。

前回の記事で紹介した対談で竹中氏は、フラットな世界が実現していくと同時に、スパイキーな(とんがった)世界も実現していくと語っている。経済的に中間層が減ってフラット化する中に、一部非常に高い所得を得るクリエイティブ・クラスが突出している状態だ。
佐藤氏は、ソーシャル・ネットワークについて、一見人脈を拡大するように見えるが、本当の人脈は狭くなること、そして特にエリート層においてコミュニケーションの形が変わりつつあることを指摘する。

私は全体としてバーチャルも現実世界もふくめ、複数のネットワークがやや階層的にレイヤーを形成しているような多重的社会構造をイメージする。
結局、リアル社会で会える人というのは限られている。ネットで誰とでもつながれる分、逆に現実世界で面会出来ることの価値は大きくなり、差別化・階級化が進むのかもしれない。一見フラットなネットワーク社会、実は複数ネットワークが複雑に重なり、一部、他からのアクセスがかなり難しい閉ざされたネットワークが存在する、そんなイメージだ。

しょせん私のような一般ピープルは、バーチャル世界で上層フラット気分を楽しむことはできても、現実社会では下層フラットとして生きるのが関の山ということか。

参考サイト: GQ Japan 『新しい資本主義が日本から生まれる可能性はある!──竹中平蔵 × 佐藤 優』