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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

スイスには絶対なれないけれど

このまえ、職場のアラサー男性同僚と話をしていて、彼が永世中立国のスイスを、反戦平和主義の国とイメージしていたことがわかった。スイスは強力なスイス軍と民間防衛で世界的にも有名だが、彼のような若い世代でも、いまだに日本人の多くがそのようなお花畑的イメージを抱いているのかと少々驚いた。

それはともかく、自分の国と国民を守るということは大変なことには違いない。スイスという国は、そのためにあらゆる手を尽くしているようだ。
永世中立国の意味から、スイスは国連に加盟していない。にもかかわらず、ジュネーブには国連欧州本部をはじめ、UNCTAD、WHO、WTOといった国際機関の本部が所在している。また、ダボスでは毎年一月に「世界経済フォーラム」の年次会議(通称ダボス会議)が開かれる。このように多くの国際機関を誘致し、年間数十万単位の国連職員や各国の要人が滞在することで、他国が攻撃しにくい状況をつくっているのだという。いやはや。大きな声では言えないが、プライベートバンクがマネーロンダリングに利用されていてもお目こぼしも、もしかして防衛の一環…!?

スパイ防止法すらない日本が、そのしたたかな防衛策を見習うことはできないだろうが、日本人は、もういいかげん防衛や安全保障という課題にちゃんと向かい合わないといけないと思う。
この度のアルジェリア人質事件の悲しい結末は、自衛隊の限界をあらためて浮き彫りにした。
今の自衛隊法では、海外における邦人輸送は「現地の安全が確保されている場合」に限られるそうだ。はぁ!?危険だからこそ自衛隊の出番なんじゃないの?しかも、手段は航空機か船舶で、陸上輸送は認められていないという…絶句。

アラブに限らず、ゲリラや反政府組織が密かに他国の武器商人や諜報機関、ときには国際機関から援助を受けているという話は、以前からよく言われている。
阿部政権の「国防軍」という言葉に、左派の人たちが「戦争が始まる!」などと過剰反応しているが、ある意味、テロのかたちをかりて、すでに戦争は始まっていると考えた方がよいと思う。今後、さらにこのような事件が増える可能性が高いのだから、命の大切さに対して意識が高い左派の人たちも、厳しい国際情勢を直視し、法改正による現実的な対応に協力してほしいものだ。