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調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

economy & society

人と社会の分裂状態は正常か?

以前、心理療法やカウンセリングを少しかじった時に聞いた、あるユニークな先生の言葉を今も憶えている。 それは、精神分裂病(当時は統合失調症をそう呼んでいた)のことを、『あれは、精神‘分裂’病じゃなくて、精神‘統一’病だ。』という、冗談のような発言…

イタリアの雇用事情

イタリア国立統計研究所(ISTAT)によると、イタリアの3月の失業率は9.8%、月次データの収集を開始した2004年1月以降で最高の水準ということだ。特に深刻なのは、15~24歳の若年層の失業率で、35.9%にもなる。(ロイターより) イタ…

パシリは奴隷の始まりか

文明の興隆には財の蓄積と労働力の集中投下が必要だというようなことを書いたが、人類が最初に他の人間を奴隷にし始めたのは、土木建築作業や農作業などの強制労働をさせるためだったのだろうか? 奴隷の起源は古すぎてわからないが、「奴隷的な立場」がうま…

所有、売買、使役できるものはみな奴隷?

古代ギリシャもローマも、生活や経済の基盤を奴隷労働に負っていた。時代が下るにしたがい、「身分としての奴隷」は減っていったかもしれない。現代では、奴隷制は国際法で禁止され、表向きは存在しない、してはいけないことになっている。しかし、今でも奴…

被災地から聞こえる胎動

「税をめぐる妄想」シリーズを書き上げるあいだに、3月11日の毎日新聞に掲載された社説を見つけた。 『社説:震災1年/7 未来のために 「NPO革命」を進めよう』政府の復興政策がなかなか進まないなか、全国からの寄付、ボランティア、地元のNPO活…

サービス納税 (税をめぐる妄想 4)

景気後退で経済の縮小傾向が続けば、資格や技能を持っていても仕事がない、就職できない人が増える。あらたに資格を取ったり、技能を身につけるインセンティブもなくなるので、労働力の質と経済的競争力のさらなる低下を引き起こす。 そのような負のスパイラ…

ボランティア納税 (税をめぐる妄想 3)

まぁ、呼び方は「労働納税」でも「サービス納税」でも、何でもいいんだけど、、、 私が、先に書いた物品納税より、さらに納税者と国・自治体双方にメリットがあると考えているのが、この奉仕活動による納税だ。工夫次第で、国や自治体が行っているさまざまな…

税をめぐる妄想 2

現代人にとって、税をお金で納めるのは当たり前だが、歴史的に見ればけしてそうではない。 近代になるまで、農村部の庶民の生活は自給自足に近く、日常的にお金を使うことはほとんどなかったのではなかろうか。税も、国や領主によって、取れるかたちで徴収さ…

税をめぐる妄想 1

日本ではこのところ、現政権による消費税率引き上げが問題になっている。 租税の起源はよくわからないが、古代文明の時代から、穀物、労働、兵役など、何らかのかたちで租税は徴収されていた。記録に残っていない、いちばん古い税の起源はどんなものだろう?…

猿知恵のエコノミック・アニマル

朝三暮四(ちょうさんぼし) 春秋時代、宋の国に狙公という猿好きの老人がいた。猿が増えて家計が苦しくなったため、飼っている猿に与える餌を減らそうと考え、狙公は「これからはトチの実(どんぐり)を朝に三つ、暮れに四つやる」と言ったが、猿が「少ない…

おサルな私たち

よりよい社会や経済システムを考えようとすれば、人間の行動や価値観の基礎となっている(支配/制限しているともいえる)ものが何か?について知らなければならないと思う。それは、「人間とはなにか?」という問いでもあり、人類は長年この問題に取り組ん…

チーターとフリーライダー

進化生物学者、長谷川英祐氏の本、『働かないアリに意義がある』は、ハチやアリなど「真社会性生物」の興味深い生態について書かれている。かれらは、繁殖を専門とする女王(王)と、労働を専門におこなうワーカーからなるコロニーを形成して集団生活を営む…

働きアリと日本の高齢労働者

この週末、会社のオフィスでレイアウト替えがある。昨日はほぼ一日、荷物の梱包作業に追われてクタクタになった。午後になると、大手運送会社が外部に移す書類の引き取りに来ていた。どう見ても70歳前後にしか見えない小柄な男性が、台車にこぼれ落ちそう…

『市場を創る―バザールからネット取引まで』 3

格差の少ない弱者にもやさしい社会や貧困、環境破壊のない世界を願っている人々(もちろん私もその一人だ)が、市場原理や競争社会こそが問題の元凶だと決めつけているのを、しばしば見聞きする。本書を読めば、そのような市場に対するステレオタイプ的な観…

『市場を創る―バザールからネット取引まで』 2

マクミラン氏は、何でもただ市場に任せればよいと考えているわけではない。市場参加者のボトム・アップによる自生的変化を市場の主要原動力としながらも、市場がその潜在力をフルに発揮するためには、政府の助けが必要であるとしている。「…しかし、自由市場…

『市場を創る―バザールからネット取引まで』 1

この前、極端な経済政策と市場化の本を取り上げたので、バランスを取るために(?)、もう一つ別の本をリライト記事で紹介しておこう。ゲーム理論で有名なミクロ経済学者(らしい)、ジョン・マクミランの著書、『市場を創る―バザールからネット取引まで』2…

女性宮家と皇位継承問題

私は、TVは基本的に平日朝の情報番組しか見ないし、新聞もとっていない。マスコミ、特に東京のTV局は基本的に信用できないと(福島原発事故報道でますます)感じているので、関東在住にもかかわらず、ネットで関西のニュース番組をチェックしたりしてい…

ショック・ドクトリン ― 惨事便乗型資本主義 2

「…2004年末に大津波がスリランカを襲ってからすでに数か月が経っていたが、私はここでも同じような手口を目撃することになる。災害後、外国資本家と国際金融機関はただちに結託してこのパニック状況を利用し、村を再建しようとした数十万人の漁民を海岸…

ショック・ドクトリン ― 惨事便乗型資本主義 1

カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン女史の話題本、『ショック・ドクトリン』を年末年始に読破しようとして、早々に挫折してしまった。上下2巻にわたる大著だが、私には序章だけで十分だと思ってしまったのが一番の理由。それと、第一部第一章の内容…

P.F. ドラッカー

今さらというか今頃になって、先月初めてP. F. ドラッカー氏の本を読んだ。しかも2002年に出版された本。。。 『もしドラ』の大ヒットで、ただ漠然と“企業のマネジメントや経営哲学で有名な人”ぐらいのイメージしかなく、ゆえに興味もなかったのだけど、、、…