... listening to 4'33" 

調和的でサスティナブルな社会・経済システムとは?変化の激しい世界で歩きながら考える。

のび太国の経済政策

結局、国家と経済の関係はどうあればよいのか?という問題は、以前記事で引用したジョン・マクミラン氏の言葉にある通り、誠実に答えようとするほどシンプルには答えられなくなる。氏が言うように、国家は国民の命と安全を守るため、利潤では支出を賄えない…

シマと国家とマフィア、そして企業

ニュースを見ながら、シマをめぐって争うところも国家とマフィアは似ているなぁなどと思う。 両者とも地所・縄張りが資本なのだ。企業も土地を使うが、(生産などの手段として以外は)特定の土地を占有し続けることに関心はない。商人は本質的に遊牧民で、そ…

最近は領土問題の陰に隠れているけれど

私は普段、政治・経済関連のサイトはあまり見ない。それでもネットで増税や経済対策についての書き込みをよく見かけるので、それだけ国民の関心が高いのだなと思う。あまり真剣に読んではいないが、議論のポイントは大まかに、経済活性化に公共投資は必要&…

いじめと脳と寺子屋

前回、ジョセフ博士の「普遍的倫理モジュール」について少し触れた。他の本で引用されていたのを読んだだけなので詳しい内容は分からないのだが、おそらくこのモジュールは、人類の長い歴史の中で培われてきたものではないだろうか。その一万年以上にわたっ…

いじめは人間社会のバグか?

いじめ行為が継続的に行われている場合、少なくとも率先していじめている子供には、その行為に何かしらの快感・快楽が伴っていると考えてよいだろう。いじめ行為によって得られる快感は、ゲームをしている時に感じるようなものかもしれないし、優越感、いじ…

いじめる側から考えてみる

最近、いじめによる自殺事件が大きな話題になったが、報道されるされないに関わらず、日本ではかなり以前からいじめが問題になっている。 個人的には自分に子供がいないこともあり、正直今まであまり大きな関心を払ってこなかった。いじめについては、もうす…

オフィスグリコが成り立つ ワケ

いつからだったろう?職場にオフィスグリコが入るようになったのは。100円玉を集金箱に入れて好きな商品を一つ買うセルフ販売システムだ。写真のお菓子ボックスには、チョコ、クッキー、おせんべいの類いはもちろん、マグカップでつくれるインスタント麺…

ピダハンについて 8

これまでピダハンの言語と文化の特徴をいくつかピックアップしてきたが、それらの多くがエヴェレットのいう「直接体験の法則」に由来しているようである。彼らは「今」に生き、過去や未来に心を煩わせない。ピダハン語には「心配する」に相当する語彙がない…

ピダハンについて 7

ピダハンの文化と言語にはユニークな特徴がいくつもあるが、中でも興味深かったのは、彼らの社会に神話というものが一切存在しないことだった。 人類学では、どの文化にも自分たちのルーツや世界がどのように出来たかを説明する物語、いわゆる「創世神話」が…

ピダハンについて 6

ピダハンは、私たちが普段何気なく使っている方向や方角を示す表現も、けして普遍的なものではないことを教えてくれる。 私は、人間は(他の多くの動物も)眼と他の五感を使って自分の棲む世界を見たり感じたりしているのだから、まず自分中心に外の世界を捉…

ピダハンについて 5

交感的言語が無い以外にも、彼らの言葉にはユニークな特徴がある。 まず、ピダハン語には比較級―「これは大きい、あれはもっと大きい」のような表現がない。また、完了した過去を語る叙述も見当たらなかったそうだ。 それだけではない。赤、青といった色彩を…

ピダハンについて 4

言語学には「交感的言語」という用語がある。「こんにちは」「さようなら」「ありがとう」「ごめんなさい」のような、何か新しい情報を提供するものではないが、単に相手を認めたり、善意や敬意を表したりして、社会や人間関係を維持する働きをする言葉であ…

ピダハンについて 3

前回の記事で書いたように、ピダハン社会には権力や個人に対する集団からの強制というものがほとんどない。それだけでなく、プライベートな人間関係においても、他者に指図するようなことは基本的によしとされない。そして、これは子供のピダハンに対しても…

ピダハンについて 2

人間は、なかなか自分がどんな偏見や先入観を持っているか気がつかないものだ。私も例外に漏れず、エヴェレットの本を読むまでは、いわゆる先住民と呼ばれる人々の社会に対して間違った思い込みを抱いていた。 その一つが、どのような人間社会にも(そしてお…

ピダハンについて 1

本当に読む価値のある本というのは、自分の先入観や固定観念を壊して、価値観や認識の見直し・変更を迫るような内容のものだと思う。以前『凡才の読書術 2』でも書いたが、私たちはともすると自分が何となく感じていることを支持してくれるような情報ばかり…

フリマ女子と代替通貨

このところ風邪をひいたり、仕事もプライベートも忙しかったりで、なかなか記事が書けなかった。書きたいことは色々あるのだけれど、しばらくは忙しい日々が続くので、文章の書き方を工夫しないとアップが難しいかもしれない…。それはともかく、TVで見たと…

『※写真はイメージです』

先日、買ってきたお菓子のパッケージを見て、あらためて気がついた。印刷されているのは、高級そうなトリュフチョコと生クリームを使ったデコレーションの写真。そして、その下に小さく、『※写真はイメージです』という一文が添えられている。「写真はイメー…

人と社会の分裂状態は正常か?

以前、心理療法やカウンセリングを少しかじった時に聞いた、あるユニークな先生の言葉を今も憶えている。 それは、精神分裂病(当時は統合失調症をそう呼んでいた)のことを、『あれは、精神‘分裂’病じゃなくて、精神‘統一’病だ。』という、冗談のような発言…

電力卵と小売自由化への一歩

『全ての卵を一つのバスケットに入れてはならない。(Don't put all your eggs in one basket.)』という言葉は、投資関係で頻繁に出てくる格言だが、私は電力ほど、この格言が当てはまるものはないのではないかと思っている。福島第1原発事故が起きるまで、…

イタリアの雇用事情

イタリア国立統計研究所(ISTAT)によると、イタリアの3月の失業率は9.8%、月次データの収集を開始した2004年1月以降で最高の水準ということだ。特に深刻なのは、15~24歳の若年層の失業率で、35.9%にもなる。(ロイターより) イタ…

今も続くパンとサーカス

TVは朝の情報番組くらいしか見ないのだが、その芸能ニュース・コーナーで、よくアイドルのコンサートの様子が映し出される。派手なステージ演出と、LEDライトを手に総立ちで興奮する観客の姿。その異様な盛り上がりを見せる情景にふと、「ローマのコロ…

世界のスーパーアイドルがおわす場所

ナポリの港に、巨大マンションのようなフェリーが停泊していた。このような豪華客船の乗客がイタリアの港に着いたとき、必ず訪れるであろう場所が、ヴァチカンだ。観光客で賑わうサン・ピエトロ広場には、まるで屋外コンサート会場のように、大スクリーンが…

家紋は正露丸?(勝手に商標使ってスミマセン)

素朴な疑問だが、貴族や王族とよばれる人たちは、一体いつ、どのようにして、その身分になったのだろうか? 超古代、まだ親族を中心とする小グループしか存在していなかった頃から、グループ同士の戦いと略奪により、少しずつ領土や財を増やしていったファミ…

海辺で生きるということ

この前、海に行ったのはいつだったろう?思い出せないくらい海に興味がないのだが、数年ぶりに海で船に乗った。 海辺で暮らす、海と共に生きるとは、どういうことなのだろう?船上で波に揺られながら、そんなことを考えた。海の波をコントロールすることはで…

数字と計測は人間の意識を変えたか?(数感覚、数字、数えること 2)

サルの計算能力実験の記事で、「数感覚」という言葉をはじめて知ったけれど、その前から、数を把握するのに「数字」や「数える」という行為は必ずしも必要でないことは認識していた。 ただ素朴な疑問として、数感覚という直感的な数の把握の仕方で、一体どの…

数を把握する動物たち(数感覚、数字、数えること 1)

2012-04-04の記事で、インカ人の数の把握の仕方は、私たちとは違って、もっと右脳的・直感的だったのではないかと書いた。それが本当かは分からないが、そのとき私の頭の片隅には、以前ナショナルジオグラフィックのウェブサイトで読んだ、魚をつかった実験…

パシリは奴隷の始まりか

文明の興隆には財の蓄積と労働力の集中投下が必要だというようなことを書いたが、人類が最初に他の人間を奴隷にし始めたのは、土木建築作業や農作業などの強制労働をさせるためだったのだろうか? 奴隷の起源は古すぎてわからないが、「奴隷的な立場」がうま…

所有、売買、使役できるものはみな奴隷?

古代ギリシャもローマも、生活や経済の基盤を奴隷労働に負っていた。時代が下るにしたがい、「身分としての奴隷」は減っていったかもしれない。現代では、奴隷制は国際法で禁止され、表向きは存在しない、してはいけないことになっている。しかし、今でも奴…

武力で征服は同じなんだけどね

「インカ展」がそれほど面白かったわけでもないのに、思いのほかインカネタを引っぱってしまった。 過去にペルー、ボリビアを訪れた経験もあるが、以前読んだ『環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ』の次の内容が頭に残っていたからだ。 …

貨幣を生む発想、生まない発想

難民キャンプや捕虜収容所のようなところでも、市場が自然発生する。第2次世界大戦中の捕虜収容所では、タバコが通貨の役割をしていた。そのような交換媒体がすぐにできたのは、そこにいた人々が、もともと貨幣経済の中で生活していたからだろう。しかし、…